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ご挨拶
~豊かな放課後実践を展開し、制度改善運動への共感を~ |
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村岡と申します。東京・小平市で、ゆうやけ子どもクラブという放課後等デイサービス事業所の職員をしています。
一般社団法人全国放課後連が2022年11月7日に設立されたことを機会に代表理事となりました。
●子どもの育ちに励まされて
ゆうやけに、徹平(仮名。小1、自閉症)という子が通ってきています。
徹平は、思いどおりにならないと、すぐに泣き出す。周りの人に噛みつこうともする。
おやつのとき、自分のセンベイを食べ終わると、私の手を引いて、器具室の前に連れていく。私がセンベイを器具室から出したのを見て、おかわりをもらおうとしているのだ。
私は、「1枚だけだよ」と言って、器具室からセンベイを出す。すると徹平は、そのセンベイを食べると、また私を器具室に連れていく。私は、「これで最後だよ」と言って、もう1枚センベイを出す。けれども徹平は、そのセンベイを食べると、またもや私を器具室に連れていく…。
私は、「もうないよ」と言ってみる。すると徹平は、案の定、泣き出す。「わかった。あるかどうかだけ見てくるね」。私は、そう言うと、器具室に入る。センベイの袋から中身を抜いて、「あー、なかった。ごめんね」と言い、カラの袋を渡す。
すると徹平は、袋を投げ捨てて、大声で泣き出す。(周りの人を噛まなければいいが…)。だが徹平は、噛もうとはしない。私のズボンのポケットに手を突っ込んで、カギを取り出す。このカギで器具室を開けたのを見ていたようだ。そして、近くにいた、別の職員にカギを渡すと、今度は、その職員を器具室に連れてきた。
(村岡はアテにならない。ほかの職員にセンベイを出してもらおう)というのだ。
(おお、すごいなあ!)。私は驚いた。
徹平は、(センベイがほしい)という気持ちを、ひとまず受けとめてもらった。だから、一筋縄ではいかない大人に出会っても、今は泣きもしないし、噛みもしない。相手の出方に応じて、自分の出方を変える。ほかの人に頼んで、自らの思いを実現しようとする。
― 対人関係を結ぶ力を見事に発揮しているのだった。
●細切れのサービスに陥ることなく
今の放課後デイは、こうした子どもの育ちをゆったりと見守って、落ち着いた実践を保障するものになっているでしょうか。条件の貧しさの中で、細切れのサービスを売り買いする仕組みに陥っていないでしょうか。
子どもたちを人間として豊かに育てる実践を展開するためにも、条件整備・制度改善を求める私たちの運動への共感を広げていきたいものです。皆様のお力添えをお願いします。 |
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